東京から北陸まわりで大阪へ向かう途中、秘境駅で有名な筒石駅へ寄り道。
この駅で下りたのは私だけ。
ホームに立ってる駅員さんに乗車券を渡す。
この筒石駅、なにが秘境なのかというと、全長11kmもあるトンネルの中にある駅。
秘境駅と言いつつ駅員さんがいてるのは、ホームの安全確認のため。
地下鉄の駅とは違いトンネルの中にホームだけ付けたような駅で、照明も暗く壁もトンネルのコンクリートそのまんま。
北陸新幹線開業前はここを時速130kmで特急列車が通過しており、風圧によって強風が吹き抜けて危険なので、ホームと待合室との間は金属製の扉で仕切られている。
待合室はすごくひんやりしていて、時計の下に掛けられている温度計を見ると14℃。
たぶん冬はあったかく感じるんでしょう。
壁はコンクリートむき出しで、地下水がにじみ出ていたり汚れやコケで黒ずんでいて、まるで地下壕にいるような雰囲気。
利用目的が違うだけで、物理的には地下壕と同じかも。
待合室から伸びる通路の角を曲がると、ちょっとげんなりしそうな階段がそびえる。
聞こえるのはピタッ、ピタッ・・・と水の滴る音と、自分の足音のみ。
階段を上ると、糸魚川方面の上り線ホームへ向かう通路と出口との丁字路に。
自分が上ってきた階段を見下ろすと、吸い込まれそうでちょっと不気味。
スロープを上がり角を曲がると、さっきの階段よりもさらに長い階段が現れる。
この階段はトンネル工事の際に使われた斜坑を利用した階段で、階段の脇には斜坑の跡も残る。
ホームへ向かう曲がり角から先もまっすぐトンネルへ通じているらしい。
階段を上りきる頃には、ちょっと汗ばんでくる。
出口にある風よけのついたてを抜けると、駅舎の待合室へ。
すでにJRからえちごトキめき鉄道に移管されたので、運賃表も自社線+他社近隣駅までの表示。
頸城トンネルの工事が始まった時期と思しき1969-4と刻まれている。
私が下りた直江津方面ホームからは290段もの階段を上ってこなくてはならないという。
「駆け込み乗車はおやめください」と書いてあるけど、この駅では命がけ。
この看板の写真の駅名票はJR時代のものですが、「筒石」の左上にあるJRマークを上から紙を貼って隠していたり。
他に人の気配はなく特に見るものもないので、駅へ戻ります。
この看板の一番下、(カッコ)の中の「地下駅」の前のスペースがちょっと気になったり。
下り線ホームへの階段を通り過ぎ、さらにスロープを下ると上り線ホームへの階段がありますが、途中で曲がっていて怖さが増幅。
やっぱり地下壕だな。
上り線も同様、金属製の扉が閉められている。
下り線側にはあった温度計はない。
列車が来ると「プーップーップーッ・・・」というブザー音とともに 列車がきます の文字が点滅。
すると、遠くの方からコツコツ・・・と足音が近づいてきて・・・
ギャー!
ホームに下りてきた駅員さんだった。
列車が来るまでホームに出ちゃいけないと思ったら、駅員さんが扉を開けて「どうぞ」と言ってくれる。
上り線ホームと下り線ホームは、トンネルの断面積を小さくするためずらして配置。
駅の壁・・・というか、トンネルの壁に設置されている連絡電話にJR時代の名残をハッケン!
列車に乗ると、車内にいたおばさんが私を見てちょっと驚いた表情に。
このおばさん、窓の外を見て「ここ駅なんだ!」と言うと、まるで地底人を見るかのような目で私をまじまじと見る。。。