旧高千穂鉄道の廃線跡でも楽しめる『高千穂あまてらす鉄道』
高千穂峡を後にし、旧高千穂鉄道高千穂駅へ行ってみることに。
鉄道は廃止されましたが、今でも県道沿いに高千穂駅のバス停がある。
延岡駅へはほぼ毎時1本ぐらいあるので、観光客も来やすそう。
バス停の前の駐車場に『高千穂あまてらす鉄道』の看板があり、覗いてみると・・・
旧高千穂鉄道高千穂駅の駅舎がそのまま使われており、今は高千穂あまてらす鉄道が保存活動をしています。
高千穂鉄道は国鉄高千穂線が3セク化されたもので、一時は日本一の高さを誇る高千穂鉄橋を渡る観光列車がヒットしてお客さんも増えましたが、台風で甚大な被害を受け復旧ができず廃止に。
駅舎内に掲げられている運賃表は高千穂鉄道時代のもののようで、JR九州の主な駅にまだ「西鹿児島」(現在の鹿児島中央)がある。
延岡行発車時刻表には、延岡駅での接続列車も案内されており、延岡18:54発の京都行きは寝台特急彗星かと。
ホームは高千穂鉄橋を往復する「グランド・スーパーカート」のりば。
只今、高千穂鉄橋へ向けて走行中。
車庫には、高千穂鉄道時代の気動車TR-202とTR-101が。
TR-202は動態保存されていて、予約制で実際に運転体験もできるらしい。
方向幕側の前面窓に「本日運転体験できます」とプレートが置いてあるんですが、もしかして声かけてすぐに運転できるの?
車内には入れませんが、窓から中を覗くときれいな状態で保存されてるようで。
車体と台車との接続部分まで見えるのは珍しい。
博物館は暗いので台車の中央までは見えないし。
2段+直結付きの変速機は、シャフトが回る反力を支えるためのマウントの仕方(黄矢印)も勉強になる。
圧縮空気を作るコンプレッサー。
ドライブシャフトからのベルト駆動なところがディーゼルカーっぽい。
軽油を入れる燃料タンクとラジエター。
パッと見、200Lは入りそう。
横置き6気筒12700cc ディーゼルエンジンは、ターボが付いて250馬力を発揮。
TR-101は静態保存のようですが、同じように床下機器を見ることができます。
運転席側のワイパーブレードが取り外され、ガラスが傷つかないようアームに手袋がはめられてた。
基本的にはTR-101もTR-202も同じなのですが、機器をよく見ると取り付けアングルの幅や厚みが違っていたり、取り回しの処理の仕方とか微妙に異なる点も。
後位側の方向幕は南延岡。
ディーゼルカーの床下機器をまじまじと見られて、オタクの私にとっては鉄粉のサビやオイルの匂いも癒し系。
車庫の展示室が改装中で、券売機などの展示品の一部が隅っこに置かれてた。
高千穂駅構内のポイント連動装置は、実際に動かなくてもつまみを回して操作してみたいですな。
「11号ポイントレール鎖錠中」と札が掛けられてますが・・・
11号ポイントは高千穂駅構内に入る時のポイントで、1番線側に固定しているということでしょうか。
風速監視装置とトンネルの監視装置。
渓谷を渡る鉄橋が多く風速監視は安全な運行には必須ですが、駅ごとにチャートへ記録されるようになっており、風速計は駅に設置してあったんですかね。
ところで、私が5才の頃、奈良県の国鉄郡山駅前の団地に住んでたんですが、郡山駅の引き込み線にDE10に牽引された貨車が出入りしてました。
本線から引き込み線へ分岐するところにポイントがありますが、ポイントをよく見ると、直線側のレールと分岐側のレールが交わるところに少しすき間があります。
当時の私は、レールにすき間があるのになぜ脱線しないのかが不思議で不思議で、この謎を解明するために貨車が出る時間を見計らって線路に入り、どうやって車輪がポイントを通過するのかを観察しようとしました。
当然、機関士から「コラー、線路に入ったらあかんぞ!」と怒られる訳ですが、昭和のおおらかな時代だったので「コラ!」で済んだものの、今なら新聞沙汰になるかも。
てな感じで、ポイントに異常な関心を持つ私、車庫にあるポイントも時間を気にせずじっくり観察。
先ほどの連動装置を見ると車庫へ通ずる検修線のポイントは手動で、ポイントの脇に操作用てこがある。
てこの機構でポイントが切り替わりますが、ポイントの潤滑油の独特な匂いは私にとってほぼアロマ。
直進側の車輪は青矢印の通りに進み、分岐側は黄矢印のレールを進みますが、ちょうど赤丸のクロッシング交点にすき間が。
これが結構なすき間なんですよね。
実際には反対側のガードレールで車輪が固定されるのですき間があっても逸脱せず越えていくのですが、ポイントを通過する時は大きな音がしますもんね。
ちょうど分岐の尖ってる部分はすき間を超えた車輪が最初に当たるので、経年ですり減りがち。
分岐側から合流する時も同じで、すき間を越えた車輪が当たる部分と・・・
列車の方向を変える薄いトングレールの先端に、車輪が当たった跡が残る。
ポイントをじっくり観察したせいで、日焼けしてしまいましたが。
そうこうしてるうちにグランド・スーパーカートが戻ってきて、次のお客さんを乗せて出発するところ。
30人乗り×2両の客車を前後の機関車が牽引して、高千穂鉄橋へ連れて行ってくれます。
牽引している機関車は、空港のトーイングカーを線路の上を走れるように改造したもので、2500ccのディーゼルエンジンを搭載して食用廃油から作った燃料を使っているそうで。
これに乗ろうかと思ったのですが、8月の暑い盛り、トンネルもあれど往復30分炎天下で照らされるのもキツいなぁと今回はパス。
なので、出発をお見送り。
これは鉄道ではなく、実際の線路を走る遊具、アトラクションという扱いなので、やや遊園地っぽい雰囲気も。
鉄道としては廃線になってしまいましたが、他では得られない体験もできて、いい鉄分補給ができました。