カーシェアで、アルファロメオ・ステルヴィオを借りる
カーシェアのcarecoでアルファロメオ・ステルヴィオ FIRST EDITION を借りてみた。
最近のSUVブームで、今までSUVをラインアップしてなかったメーカーも続々とSUVを出すようになりましたが、イタリアの名門、アルファロメオもしかり。
そんなアルファロメオ初のSUV、STELVIOの日本導入第1弾として限定400台で発売されたのが、このFIRST EDITION。
フロントは盾形グリルと左右のロアグリル、ナンバープレートどこ付けよ?と悩ましい、典型的なアルファ顔。
先にデビューしたセダンのGIULIAを少し縦長エフェクトした感じでほとんど同じ。
まあ、最近はどのメーカーもデザインイメージを共通化するのが流行ってるので、違和感はない。
全長4,690mm×全幅1,905mm×全高1,680mmと、大きすぎないサイズで、ハッチバック風なルーフからリアへのライン。
リアはウインドウが小さく、丸い大径マフラーと相まってスポーティー。
個人的に、どことなく魂動デザインっぽく見えなくもない。
タイヤはピレリ、SCORPION VERDE。前後とも255/45 R20。
ホイールの奥から見える Alfa Romeo の赤いキャリパーがいい。
エンジンは直4の2Lターボで、280PS/400N・mとパワフル。
これがすんごい楽しいエンジン。
エンジンルームを眺めていると、エンジンがフロントアクスルより内側にマウントされているようで、これがとてつもなく楽しいハンドリングに一役買ってるかも。
レザーシートは硬めの座り心地ですが、もうちょっとホールド性が良ければうれしいかな。
元々左ハンドルなのを右ハンドルにしたせいか、ステアリングの左側にクルーズコントロール関係のスイッチ、右側にオーディオコントロールがある。
運転席周りでの特徴といえば、ステアリングに付いてるエンジンスタートボタンがイタリア車っぽくてカッコいい。
ステアリングの後ろにあるパドルが大型で、まるでフェラーリみたいな。
ただ、パドルがステアリングコラムに固定されており、ステアリングを回してもパドルが一緒に回りません。
コーナーリング時にはそこそこステアリングを回すので、いくらパドルが大きいとはいえ、実際にコーナーリング中にパドル操作はできない。
足元は、タイヤハウスと駆動系が張り出していて、左右が狭め。
ロードスターよりも狭い。
ライトの操作スイッチはそれぞれのポジションで固定されず操作方法がいまいちよくわからんかったけど、適当にいじってたら思い通りになった。
ドアパネルには運転席の電動シートのメモリーボタンと、harman/kardonのスピーカー。
ドアノブの横にドアロックボタンがあり、ロック状態の時はランプが点灯する。
助手席側のドアロックも同じく光るんですが、夜は鬱陶しくないのかな?
オーバーヘッドコンソールにはルームランプとマップランプがあり、小物入れはない。
後席は背中が立ち気味で、足元は狭くはないけど広いとも言えないレベル。
背中も座面もフラット気味ですが、硬さが変わっている。
ラゲッジは高さもあるので広く見えますが、奥行きはDセグの平均ぐらいかな。
ラゲッジ左側にはウーハー?が埋め込まれていて、例によってcarecoの標準アイテムのジュニアシートとお掃除セットが積んである。
純正ナビやラジオ以外のオーディオは装備すらされておらず、スマホにケーブルを接続してApple CarPlayかAndroid Autoをディスプレイに表示させる。
まあ、純正ナビは操作が機種によりバラバラで使いにくいし、データも最新とは限らないし、私は基本的に使わないので全然構わないのですが、スマホ必携というのも慣れないと戸惑うかも。
初めてApple CarPlayで接続しましたが、画面には対応しているアプリのアイコンしか出ないんですかね。
接続した状態でスクショを撮ると、車のモニターに表示されたまま撮れるようで。
さてさて、そんなステルヴィオですが、この車、凄すぎる!
見た目こそSUVですが、中身は純然たるスポーツカー。
特徴はなんといっても、足!
車に乗り込み、駐車スペースから10mも走れば、ガッチガチなサスに驚く!
「硬い」では言葉足らずなほどに硬い足回りは、九州ラーメンのゆで加減で言うなら「かため」や「バリカタ」ではなく、もはや「粉落とし」レベル。
街中をゆっくり走っても硬さから来る上下の揺れはあれど、抑えるべき振動はしっかり抑えてくれるので、疲れはそれほどでもない。
一般道から中央道へ入り、高速での走りを確かめてみる。
大阪からだと東京へは東名高速を使うことが多いので、関東近郊の中央道を走る機会はほとんどなかったんですが、初めてユーミンの「中央フリーウェイ」で出てくる ”右に見える競馬場、左はビール工場♪”
の場所を走った。
エンジンは2Lターボですが、直4の振動はあれどターボの効き方が自然で、大排気量のNAみたい。
でも、よく聞くと、アクセルを戻したら「パシュッ!」という音も聞こえたり。
追尾クルコンをセットすると、100km/h巡航は1,750rpmぐらい。
追尾用のセンサーは、バンパー右側のロアグリルに付いてる。
追尾の制御は、特に違和感はなかった。
ただ、ステアリングアシストはなく、車線逸脱防止のアラームのみ。
ブラインドスポットモニターも装備されていますが、今まで経験してきた国産車やドイツ車に比べると、警告灯が点くタイミングが遅いような。
高速で左車線を走っていて、右車線を追い抜く車があるようなシチュエーションで、今までの経験では、ドアミラー越しにこの辺りまで近づくまでには警告灯は点くのですが、この車はほぼ斜め後ろに近づいていても警告灯は点かず・・・
高速を走っていてフロントガラスが汚れるとウォッシャー液を出してワイパーで拭き取りますが、この水で運転席側の窓がとてつもなくビチョビチョになるという。
高速でもガチガチの足のおかげできついカーブもすいすいと曲がって行きますが、ワインディングへ行くともうビックリ!
ステルヴィオには「d」「n」「a」の3つのドライブモードがあり、nがノーマル、dがダイナミック、aが燃費重視のモードになりますが、ATのセレクターレバーの脇に付いているダイヤルを「d」にするとエグい。
メーカー曰く、「パフォーマンスとレスポンスに特化したモードで、ステアリングはより正確に、ブレーキはより敏感に、 電子制御系はスポーティなドライビングをより楽しめるよう絶妙なセッティング」ということらしいのですが、まさにコレ!
ステアリングがクイック気味でハンドルを少しでも動かせばノーズが回り、背の高さなんて感じないほどロールせずにガチっと曲がっていく。
AMG E53でもそうでしたが、FR車のコーナーリングではロールを利用して意図的に外側のタイヤに負荷を掛けて軽く滑らせる走り方をよくするんですが、ステルヴィオはロールが抑えられていてこの走り方ができず、ブレーキでピッチさせてフロントにしっかり荷重を乗せてからハンドルとアクセルで横Gを掛けて曲がる。
フロントに荷重を掛けるときはロック寸前のブレーキングが望ましいのですが、ブレーキの効きが素晴らしく、さらにABSがの制御が機関銃みたいにすごくきめ細かいのでブレーキのコントロールがやりやすく、また、ガツンと踏んづけてやればシートベルトが食い込むぐらいビタっと止まる。
ブレーキペダルのフィール自体はややスポンジーなのですが、踏力で制動力を調整するようなブレーキ。
ブレーキでなかなか姿勢が乱れないので意図的に突っ込み過ぎてみたところ、初期はさすがにアンダーが出ますが、すぐにグリップが回復してスッと曲がる。
コーナーからの立ち上がりもスムーズで、パワフルなエンジンを使ってわざとパワーオーバーステアに持ち込もうとしても、フロントにトルクが配分されてリアタイヤはほとんど滑らず、弱アンダーでグリップしながら立ち上がる。
SUVなのに重たいエンジンがフロントアクスルより後ろに搭載されていることからも、実はコーナーリングマシンなことがわかる。
ステルヴィオの車名自体、イタリア北部に実在する「ステルヴィオ峠」が由来してるんだとか。
そら、峠で楽しいはずやわ。
これが日本なら「榛名」とか「六甲」とかいう名前ですもんね。
なんか旧日本海軍の軍艦みたい。
そして、峠だけでなく林道も楽しい。
若い頃にラリーをやってたことがあり、今でもついつい林道を走ってしまいがちなんですが、つづら折れで減速・コーナー・加速を細かく繰り返すような林道でもしっかり止まるし、スイっと曲がるし、ドーンと加速するし、楽しいったらありゃしない。
しかも、最低地上高が高いSUVなので、道路に枝が落ちていてももろともせず走れるし、林道がこんなに楽しい車は初めて。
もちろん対向車が見えないところではすぐに止まれるスピードしか出さないですけど。
アルファロメオのエンブレムは、蛇が舌を出してるのかと思いきや、人間が大蛇に喰われいるという、今時のモンスタークレーマーの標的にされはしないかと心配になったり。
そんな私も、大蛇に喰われてしまったかのように、この車の持つ魅力の虜になったかも。
こんなモンスターマシンを10分240円で借りられるカーシェアってすごい。
しかもガソリン代込みで。