サマータイムは日本には向かない
夏場に時計の針を1時間進めるサマータイムというものがあります。
サマータイムのメリットは、日の長い夏場の日照時間を有効活用できることだといいます。
時計を1時間進めることで涼しい早朝を活用、太陽がまだ高い仕事後にレジャーを楽しむゆとりができる。
就寝までの照明が必要な時間が短くなるので、省エネ効果が期待できる・・・
というのが、サマータイム推進派の皮算用らしい。
郵政法案ばかりが注目されていた国会ですが、実は日本でもサマータイム実現に向けて、法案が提出される予定でした。
しかし国会が解散されて、廃案となってしまった。
ものの資料によると、サマータイムにより約93万キロリットルの原油が節減され、外食産業などでは経済効果が生まれ、GDPを昨年比で0.2%引き上げる、とされています。
いいことずくめのように見えるサマータイムですが、こうした試算にはトリックがあります。
まず、余暇拡大に伴なう「増エネ」分が考慮されていません。
どこの企業でもIT化が進み、早朝だからといって冷房が不必要かというと、そうではありません。
また、日没から就寝までの時間が短くなるけど気温が下がらないため、就寝時に冷房を利用することが多くなるでしょう。
そもそもサマータイムは、冬の日照不足に悩む高緯度のヨーロッパ諸国で、夏の太陽光を求めて導入したのが始まり。
導入国のほとんどは高緯度の国で、日本のような中緯度、高温多湿の気候には向きません。
夏はうだるような蒸し暑さ、仕事後の夕方も西日がきつく気温は下がらない。
こんな炎天下で屋外レジャーなんて、意欲すらわかない。
亜熱帯化した日本では、むしろ早く日が沈んでくれた方がいい。
と、サマータイムに対しては反対派である私ですが、実際にサマータイムをするとどうなるものかと、実は7月から「ひとりサマータイム」を実施中です。
自主的に1時間早く生活してみると、これがなかなかいい感じ。
自転車での通勤も、日が昇ってからまだ気温が上がっていないため、とても涼しい。
電車で通勤する時も、ラッシュのピークを外せるので楽ちん。
出勤してから仕事が始まるまでに1時間の余裕ができるので、脳の暖気もできます。
実際に朝型の生活をしてみると、想像以上に気分的に余裕が生まれます。
しかし、この余裕は私ひとりでサマータイムをしているためであり、みんながサマータイムをしてしまうと、結局何も変わりません。
また、会社からの帰宅時間も以前とほとんど変わっていないので実質労働時間が増えてしまい、肉体的に余裕が生まれているかというと疑問ではあります。