便利な工夫が満載で運転しても楽しいライトバン『サクシード』を借りる
鳥取にカニを買いに行く時に、自分のクルマじゃなくトヨタレンタカーでサクシードを借りてみた。
兄弟車のプロボックスとともに、そこらじゅうで走ってる仕事グルマの代表格で珍しくも何ともありませんが、これがなかなかよく出来た車なのです。
今や登録車の国産ライトバンはプロボックス/サクシード(略してプロサク)と、日産ウイングロードベースのNV150 ADとそのOEM車しかなく、しかもライトバン専用設計車はプロサクしかないという。
専用設計だけに、ライトバンに必要な性能と装備と使い勝手が上手く盛り込まれており、スクエアなスタイリングもそのひとつ。
ラジオのアンテナが、今となっては昔懐かしい運転席側のAピラーに付いている。
このアンテナって想像以上に汚れるんですよねぇ。
スタイリングはもちろん、室内も仕事のための工夫がいっぱい。
四角くスクエアなインパネも工夫のひとつ。
メーターパネルにはスピードメーターが鎮座し、今どきは水温計もない。
オドメーターが909kmで、ゴリゴリの新車やん!
メーターとナビとの間にスマホが置けるホルダーがあり、さらにホルダーごと手前に引き出すと小物入れになっている。
取説を見ると、ホルダーに充電ケーブルを通せて、さらに外したケーブルが遊ばないように引っ掛けておけるという工夫も。
このホルダー、スマホは置けるけど画面は見られないデザインになってるそうで、工夫の度合いが深い!
ホルダーの下には充電ケーブルが挿せるようUSB端子とシガライターソケットが。
それと、アイドルストップOFFとオートハイビームのスイッチ。
商用バンにもオートハイビームが付いてるんや!
再び取説を見ると、センタートレイのドリンクホルダーの使い方が書いてある。
さらにカップホルダーを開けると、1L紙パックも入るホルダーに。
この四角い紙パックが置けるところが、仕事で使う車としてありがたい装備。
センタートレイの下には、買い物袋を引っ掛けられるコンビニフックと、鍵付きのボックス。
助手席前のグローブボックスは、A4サイズのファイルが入れられる深さ。
グローブボックスは完全には閉まらず、開口部から書類の出し入れができる構造。
さらに、一番仕事グルマらしい装備といえば、引き出し式の大きなテーブル。
ここにパソコンも置けるし、車内で弁当を食べるときにもすんげー便利。
ドアポケットは内装が切り欠きになっていて、外板がポケットの壁になっている。
運転席と助手席の間、ゲート式のシフトレバーの後部はカバンがそのまま置けるようになっていて、仕事グルマには便利な工夫。
NV150 ADとは違いインパネの上は平らにはなっておらず、このスペースに物は置けなさそう。
エンジンキーは銀の棒を挿し込むタイプ。
今や車線逸脱警告と自動ブレーキは商用ライトバンにも必須装備。
アクセルペダルは上部が切り欠けていて小さめですが、位置は自然。
ただ、アクセルフィールはトヨタらしくスカスカ。
運転席側のドアポケットも外板むき出し。
パワーウインドウのボタンが前席2つ分しかありませんが、後席の窓は・・・
レバーをクルクル回す、通称「ハンドパワーウインドウ」。
今となっては商用バンぐらいしかないかも。
前席シートはファブリック地で、クッションに適度コシがあり、長時間乗っていても疲れにくい。
こんないいシートがあるんだから他の小型乗用車にも使えばいいのに、あえて出来損ないのシートを使うところがトヨタらしい。
背もたれを目いっぱい倒すと、ほぼフラットな感覚になるぐらいに倒れる。
最大76度までリクライニングさせれば、すんごく寝やすくて気持ちいい。
路肩に止めて運転手が昼寝してるプロサクをよく見ますが、眠たくなったらきっちり寝てすっきり目覚めれば、仕事もはかどるし安全運転にもつながる。
後席はライトバンらしく塩ビ生地のシートで、背もたれがすごく立っている。
足元も足をまっすぐ入れられないほどに狭く、短距離の移動でしか座れない。
荷室もスクエアになり、数字には表れない使いやすさがあったり。
後席を倒しやすいよう、前席のシートバックが湾曲しているのもいい。
荷室にもポケットがあり、荷物を積み下ろしする時の軍手なんかを収納するのに便利。
エンジンは1.5Lガソリン車。
ボンネットから前はアクアと共通なので、2年ほど前に「ハイブリッドも出すんじゃない?」とトヨタのエンジニアに鋭い指摘をした自動車評論家がいましたが、その後、ホントにハイブリッドが出ました。
ライトバンにトーションビームは珍しくはないけれど、セッティングがかなり秀逸で、そのおかげで高速をぶっ飛ばすプロサクが多いこと。
タイヤはライトバンらしい155/80R 14インチ。ロードインデックスは88/86N。
走ってみると、空荷だったこともあってか思ったよりも軽快で楽しい。
CVTはエンジン音は大きいのに全然加速しなくて気持ち悪かったり、アクセルOFFでクラッチが切れてアイドリングみたいなエンジン回転数にまで落ちて空走感がエグく、再加速するときにももっさりしがちですが、この車はアクセルを抜いても適度にエンジンブレーキがかかって、普通のAT車のように走れる。
Dレンジでは少しCVTっぽさがあるけれど、Sモードにすると積極的にロックアップしてくれ、回転数が高いままエンジンブレーキも使えるし加速のレスポンスもいい。
足回りもいい感じで、ワインディングでもFF車の割にきっちり思った通りに曲がれるし、空荷でも後ろが暴れないし(以前仕事で乗ってたカルディナバンはひどかった)、突出したものはないけど商用車ならではの剛性もあって基本がしっかりしていると思う。
高速を走ってみるとまあまあうるさいけれど、ふらつくこともなくきっちり真っすぐ走る。
夕方、高速を飛ばしているプロサクを見かけるけど、それも走れてしまう性能があるんですな。
運転していて楽しい商用バンですが、この手の仕事グルマは買う人と使う人が違うことが多いので、買う人のことも考えてコストダウンするところはきっちり安く仕上げてます。
でも、商用バンなら安っぽくても全然OKなんですよね。
ちょっと欲しくなってきたよ。