敦賀乗り換え必須となった北陸新幹線を使ってみて
さて今回、大阪~東京の往復に北陸新幹線を使ってみましたが、敦賀延伸開業前から指摘されていた問題はその通りになっているようで、特に関西からは歓迎するような声は聞こえてきません。
今まで関西からは乗り換えなしで金沢まで行けたところ敦賀で乗り換えが必須となり、関西と北陸との人の流れが変わってしまうと言われてましたが、すぐにではないにせよ、それが現実になるかも。
実際に利用してみると、思った以上に乗り換えがめんどくさかったし。
敦賀乗り換えが必須となった結果利便性が向上するならまだしも、そもそも今まで乗って来た列車から降り、駅構内を徒歩移動し、別の列車に着席するという手間が発生し、なおかつ費用は高くなり、乗り換え時間を含めるとほとんど時短効果もないという。
私の知る範囲で話をしますと、大阪の老人会や自治会などで金を持ってるお年寄りのコミュニティでは、毎年温泉旅行に行ってたりするんですが、近畿圏の温泉の他に「関西の奥座敷」とも言われる芦原温泉、加賀温泉、和倉温泉も行き先になってました。
そういうご老人たちは、年を重ね年々歩くのがしんどくなっていることを実感しており、さらに近い将来もっと歩けなくなることを自覚してるので「動ける間に動いておこう」と旅行に出ます。
北陸方面へは新幹線延伸開業のもの珍しさもあり、たぶん1回は乗り換えを許容して足を運んだとしても、それ以降は「乗り換え面倒だしもうやめよう」となってしまうような気がします。
また、グループ旅行だと、乗車して飲み食いするなど車内の過ごし方が決まってしまうと、せっかく落ち着いていたのに乗り換えでそれをリセットされてしまうのはよろしくなく、新幹線では敦賀から芦原温泉や加賀温泉にはすぐに着いてしまうので落ち着く暇もない、忙しない!という印象にもなってしまうかと。
乗り換えの有無は、年齢が高いほど旅行先を決める上で重要な要素になり得ます。
ネット上では「乗り換え必須となった程度で結びつきがなくなるのなら、その程度の結びつきだったに過ぎない」という声もありますが、今まで「その程度の結びつき」で十分観光地として成立していて飯を食ってた訳です。
では、関西からの旅行客が減った分、首都圏から人を呼べるか?
首都圏周辺にはすでに有名で人気の温泉が多く「関東の奥座敷」もすでにあり、もの珍しさで1回は福井へ来訪したとしても永続的に首都圏から人を呼び続けるだけの魅力があるかというと、難しいんじゃないかと思う。
あと、関東の人は関西人よりもカニを食べない、食べたとしてもズワイガニ一択ではないので、関西人みたいに「越前ガニを食べに日本海へ行こう!」とはならないだろう。
関東から見ると選択肢が増えた分、単に競争が激しくなっただけなんじゃないかと。
また、東京~敦賀間ではそもそも北陸新幹線では時短効果はなく、延伸開業後も米原経由で東海道新幹線の方が早いし、東京~福井では東海道まわりだと乗り換えが2回発生するので北陸新幹線になるでしょうが、時短効果はほとんどありません。
特に、速達タイプの「かがやき」は朝晩しか走っておらず、日中は準急タイプの「はくたか」でのんびり行くか、金沢まで速達列車で行って乗り換えるかになってしまうので、乗り換えなしのメリットすらあまり享受できないだろう。
名古屋方面の利用者は費用が高くなったことで高速バスへ流れてしまってるようで、今までのヘビーユーザーほど誰トク?のような状態に。
JR西日本は北陸本線の優等列車は新幹線が担うと考えており、それは間違ってはいないけど、利用者のニーズとはかけ離れたものになってしまっている。
もう開業してしまったので、これからどのような変化があるのかを見守っていくしかありません。