我が家に癒しグルマがやってきた
我が家に癒し車がやってきた。
1989年式(平成元年式) 日産PAO。
発売された当時もレトロ風なデザインでしたが、新車から33年が経ち、ホントにレトロになりました。
国産車の多くがオラオラ顔な時代、PAOの丸いフェイスは癒し系。
今や国産車では絶滅危惧種になってしまった3ドアハッチバックですが、横からのフォルムもかわいい。
PAOのイメージカラーは水色のアクアグレーで、私もはじめは水色で探そうと思ってたんですが、このオリーブグレーの実車を見たら、彩度の低い緑色のおかげでレトロ感が増し増しになりクリティカルヒット!
リアも丸い縦並びのテールランプとパイプ状のリアバンパーなど、ノスタルジーな雰囲気。
Z世代の子どもが見た瞬間「エモいー!」と絶賛。
なるほど、エモいってそう使うんか。
今どきの車にはないエモいポイントがたくさんあり、まずはリアゲートはガラス部とパネルが上下に開くところや・・・
給油口はキーで開けるタイプ。
そういえば、昔はガソリンスタンドで「レギュラー満タン」と言いながら店員にキーを渡してたっけ。
エンジンは初代マーチ用の4気筒987cc、しかもキャブレター。
今時のノンターボの軽乗用車より確実に遅く、軽トラならいい勝負かも
マフラーは穴が開いていたので、PAO用に専用開発されたステンレスマフラーに交換。
純正マフラー出口の外カールも再現されていて社外品の雰囲気はなく、オリジナルデザインを壊さないマフラー。
フロントパイプとリアパイプ両方とも交換し、マフラーがピカピカ。
タイヤサイズは155SR12というレトロな仕様。
12インチの鉄ホイールはベージュに、キャップはシルバーに塗装。
ベージュの色と、鉄チンの穴がハートっぽく見えるところもかわいらしさを演出。
サスも純正置き換えの定番、KYBのNEW SR SPECIAL。
こんな見た目の車なので今時のLEDは似合わないし、電球の点滅の方が味が出て、暗くてもハロゲン球じゃないとあかんな。
ヘッドライトのレンズはガラスなので、経年黄ばみとは無縁。
今でもエクステリアはシンプルなデザインの車はありますが、インテリアがここまでシンプルな車はないのでは?
窓は手でハンドルをくるくる回す「ハンドパワーウインドウ」で、ドアロックはキーを差し込んで回し、他のドアとは連動しない。
シートポケットはリュックサックのようなふた付きのデザインで結構容量もあり、貴重な収納スペース。
質素でシンプルだけど、ボディ同色のインパネに萌える。
快適装備といえば、昭和50年代だったらかなりのセールスポイントになってたであろうエアコンとパワステだけで、ディスプレイはもちろん、時計すらありません。
アンダートレイもシートに合わせてベージュに張り替え。
「エアバッグって何?」と言わんばかりの細い2本スポークのハンドルは、元々ベージュなところもかわいい。
スイッチ類は必要最低限、タコメーターもトリップメーターもありません。
インパネは鉄製なので、磁石がくっつきます。
メーター左右のトグルスイッチも萌えポイントで、左がハザード、右がリアデフォッガー。
コラムカバー上部は純正ではグレーですが、ここもベージュに塗ってます。
ワイパースイッチは細く、ホテルのフロントなんかにあるボールペンみたいな形。
ウインカーを作動させると機械式のリレーの音が鉄製のインパネに響き、実にいい音を奏でて癒される。
方向指示器のインジケーターはメーター内にはなく、メーター左右のインパネに独立しており、← →のような矢印ではなく丸い緑のランプが点滅するところもいい!
一応、エアコンも効きますが、果たして21世紀の夏の酷暑でも効くかどうかはわかりません。
エアコンスイッチの右側、ステアリングコラムとの間にシガライターとリアガラスハッチを開けるスイッチが付いており、左側にはスマホの充電用に100V電源を付けました。
純正カセットデッキはパオ専用デザイン、今やラジオもネットで聞く時代、ツマミを回して周波数を合わせるなんて萌える。
しょぼいスピーカーがリアに2つ付いてるだけなので、音質もかなり味があります。
カセットを聞くにしても、まずは録音用のラジカセがいるな。
5速マニュアルのシフトレバーは節度感があって操作しやすく、丸いノブは触り心地がいい。
センターコンソールもベージュに塗りましたが、シフトブーツもベージュにしてしまうとむしろ変なので黒のまま残す。
シフトレバー前側の灰皿に時代を感じる。
奥行きが全くなく、ここへ一体何を入れさせようとしたのかわからない。
アクセルペダルは左側へなかなかの寄りっぷりですが、まあこれもPAOだからヨシでしょう。
左右のドアに、昔の観光バスに付いてたようなネット状のドリンクホルダーを付けました。
今時の車ではあり得ないほどの質素な室内は、昭和を思い出させてくれる。
整備手帳と取説も古くていい感じ。
整備手帳を見ると、山梨県のディーラーで整備を受けていた記録がある。
取説の手書き風のイラストも昭和の雰囲気。
快適装備はほとんどないので、取説も薄い。
この車、33年落ちで走行距離は106700kmなので程度としては悪くはないけど、いかんせん古すぎるので、もはや距離は関係ない。
「パワー」と名の付くものはパワステぐらいでパワーには縁がなく、「オート」と名の付くものはオートチョークぐらいで、ミッションも含めてほぼ全てが手動。
前世紀に作られた古くて遅くてボロいネオクラシックカーですが、これほどおしゃれで可愛くてエモい車はない。
今どきの新車のように便利で快適じゃなく、カメラがなかったらバックするのもおぼつかないほどに退化してしまった私ですが、こんな不便でさえすごく楽しい癒し車です。
もちろんノーメンテでは乗れないし、これからも不具合が出るでしょうが、ハイテク装備満載のBMWとは違った魅力があるんですよねぇ。
と言うてる間に、もう不具合の影がちらちらしております。