津波の恐ろしさを生で感じる震災遺構『東日本大震災津波伝承館』@岩手・陸前高田
岩手県大槌町で東日本大震災後の様子を見ましたが、次に訪れたのは三陸道を南下した陸前高田市。
国道45号線を走っていてコンクリートの高い壁が見えると、海が近いということがわかります。
すると突然、廃墟と化した5階建ての団地のような建物が現れる!
最上階以外の窓ガラスやベランダの柵がなくなってしまったこの建物は、旧下宿定住促進住宅。
震災当日、5階の床上まで水没する14.5mの津波が押し寄せ、4階までは全て流されてしまった跡がそのまま残り、5階のベランダまで津波が到達したことを示す看板が掲げられています。
いきなり生々しい津波の爪跡に衝撃を受けつつさらに進むと、サッカーコートや・・・
野球場のある運動公園があるのは、津波の被災地にありがちなようで。
次の目的地、道の駅高田松原に併設された東日本大震災津波伝承館へ。
広い駐車場に車を止め、シンメトリーの建物に向かって右側が再建された道の駅で・・・
この伝承館で象徴的な展示物といえば、津波に流されて破壊された消防車。
ハイラックスの4WD。
津波で山際まで流されたものの、乗っていた消防団員の方は無事だったようです。
荷台には、可搬動力ポンプと筒先などの消防機材が積まれたまま。
ぐちゃぐちゃになった車体に目が行きがちですが、車体の下をのぞくと、ラダーフレームとリーフ式サスペンションなどの主要構造部は・・・
見える範囲では壊れていません。
ハイラックスといえば、世界のどんな過酷な環境でも壊れない強靭さと信頼性で海外でも絶大な人気を誇っていますが、まさか津波でその丈夫さが知れるとは。
津波で泥だらけになった小学校や中学校の備品類を見ると、津波の惨状がリアルに伝わる。
震災の犠牲者の9割が溺死ということに、改めて津波の恐ろしさを感じる。
こんな感じで、館内を見るのに1時間もあれば十分だと思います。
ここは入場は無料ですが、出口に寄付を募る募金箱があるので、一応紙幣を入れといた。
館内の資料を見ている時に外から水が流れる音がしてきたので、てっきり水のオブジェでもあるのかと思ったら、なんと局所的にゲリラ豪雨が降っていたらしい。
外へ出ると雨は止んでましたが、防潮堤から戻って来た人はみんなずぶ濡れ。
この海の向こうから大津波がやってきたことを想像すらできないような穏やかな海。
防潮堤と海との間のスペースで、仕切りが設けられ何か植えられているのですが、もしかして松が植栽されているのかも。
震災前にはここに7万本の松林があったそうですが、津波でみんな流されてしまったらしい。
浜へ下る階段もありましたが、再度上るのがしんどそうだったので向こうには行かず。
下りきったところにある階段を数えると、防潮堤はだいたい建物4~5階分ぐらいの高さ。
元ユースホステルだった建物は地震と津波で全壊してしまい、震災遺構として保存されることに。
津波には耐えたもののその後枯れてしまい、現在の奇跡の一本松は震災遺構として復元、保存処理をされて元の場所に立てられたもの。
このユースホステルと奇跡の一本松は、サザエさんも訪れています。
この辺り一帯は「高田松原津波復興祈念公園」として整備されていますが、まだ工事が続いている場所も。
道の駅高田松原は元々隣接した場所にありましたが、津波で破壊された旧道の駅の建物も震災遺構として保存されます。
旧道の駅へは工事中でいけませんでしたが、建物の側面に津波が到達した高さを示す標示がされており、改めて津波のすごさを感じる。
このような津波の爪跡は、やはり実際に来て見て感じないとその恐ろしさは伝わらないので、今回訪問して良かったと思います。
高田松原津波復興祈念公園の整備が完成したら、再訪してみようかと。