オートモーティブワールドでお勉強

クルマ

今週水曜日から3日間、東京ビッグサイトで開催されていた自動車技術に関する展示会『オートモーティブワールド』へ行きました。

モーターショーとは違い完成車の展示会ではなく、完成車を作るための技術を集めた展示会。

自動車産業はすそ野が広く、直接自動車メーカーと取引はなくても部品を通じて間接的に関わっており、最新技術やこの先のトレンドを知っておくことはとても重要なのです。

また、完成車メーカーや部品メーカーの技術者から直接話を聞ける有料無料のセミナーがあり、3日間でこのセミナーを受講しまくった結果、受講料は6万円ほど掛かりましたが、それに見合う勉強は出来たと思う。

増々厳しくなるCO2排出規制に対応するためには軽量化は必須で、100kg軽くすると燃費が1km/L良くなり、燃費が20km/Lの車でCO2排出量が5.5gの削減になるらしい。

そこで、通常の鋼板よりも強度が高い高張力鋼板を使い、板厚を薄くして軽くしつつ強度を高めているのですが、強度が高いと加工がしにくくなるため、製造時に工夫が要るそうで。

また、高張力鋼板を使ったところ、事故で変形した車から乗員を救出する時に、レスキューが持っているカッターでは車体が切れないという問題がありメーカーへの問い合わせが多かったそうですが、最近は問い合わせがなくなったので新しいカッターが開発されたのかもしれません。

各社の技術者からの話を聞いてると、やはりメーカーごとにものづくりの考え方が違いますな。

特にマツダは開発の考え方やアクション、実験データまで教えてくれるので、車を買う動機付けとしてはかなりポイントが高い。

歴代アクセラを含めマツダ3の車体に使われている鋼板の強度とその配置、ノイズを低減する接合方法、衝突安全性を高めるフレームの工夫など興味深い話が聞けた。

新型マツダ3は、初代アクセラに比べ780MPa以上の高張力鋼板を約4倍使われているそうで、全体の41%が高張力鋼板なんだとか。

質疑では他の完成車メーカーの技術者からの質問もあり、そのやり取りを聞いてると鳥肌が出るぐらい感動してしまう。

あるメーカーの技術者からの質問で、先進国向けに衝突安全性が高いけどコストも高いフレームと、新興国向けに安全性はそこそこで安いフレームを使い分けているような発言があり、私も「そんなことあるんや!」と驚いたのですが、「新興国であろうが乗ってるお客様は同じなんだから、安全性に差を付けることは考えたことありません」と回答されてたのには鼻血が出そうになった。

トヨタからはCFRPの生産方法の話がありましたが、さすがはトヨタ、カーボンでコストが上がった分をきっちり工程で回収してますな。

トヨタ元町工場のCFRPパネルの成形機の動画も見せていただいたり。

最近は、車体に鉄以外の素材を組み合わせて作られている車もありますが、副作用として市場に出た車の強度劣化が大きくなる傾向にあります。

具体的な車種は控えますが、7年落ちで強度が半分になってしまう中古車もあったりして。

年々厳しくなる衝突安全試験に対応するために綿密な強度計算をしているという開発の苦労を聞いてると、ドレスアップ屋がFRPで形だけ変えて強度を落とすなんてナンセンスに感じてしまう。

クルマ

Posted by 管理人