マツダ3は自然過ぎて何とも表現しようのない良さがある

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ロードスターRFの点検の間、新しくデビューしたマツダ3を試乗させてもらうことに。

ディーラーに入った瞬間、マシーングレープレミアムメタリックのマツダ3が迫力があってカッチョエエ!と思ったんですが・・・


試乗車は白い方でした。

まあロードスターRFと同じスノーフレイクな白もいいけどね。

BMアクセラに比べるとワイド&ローなフォルムになってカッコいい。

キャラクターラインをなくし、かなりすっきりとした印象。

ルーフから太いCピラーでリアフェンダーに流れるボリューミーなフォルムが特にいい。

2017年の東京モーターショーで出品されていた「魁 KAI CONCEPT」から少し市販用にモディファイされていますが、全体的な印象はそのまま。

ウインカーもLEDに。

ただ、新車なのになぜかボディーとリアバンパーの色が違っていて、バンパーが黄ばんでいるように見えるのは問題外。

これ買う時は、白はナシだな。

明るいので写真ではわかりにくいですが、テールランプは上部が欠けた二つ目で光り・・・

ブレーキは外側だけが光ります。

メーターは中央がディスプレイで、タコメーターと水温計・燃料計は物理針。
イグニッションONで針がスイープして、中央にはMAZDA3のロゴ。

通常、中央のディスプレイにはアナログ式のスピードメーターが表示されてますが、個人的にスピードメーターはデジタル表示がいい。

HUDがあるので、メーターがアナログでもいいけど。

HUDの焦点が若干遠くなっていて、さらに見やすくなる。

マツコネのディスプレイが8.8インチになり、横に長くなる。

ディスプレイの右上にはドライバーをモニタリングするカメラがあり、ドライバーが眠たそうにしてたら休憩を促すという。

シフトレバーは変わった感はありませんが、マツコネの操作スイッチの質感は上がってる。

なぜステアリングの下向きスポークの穴を塞いでしまったのか?

これ、開いていても塞がっていても関係ないように思いますが・・・

ハンドルを切った時にメーターパネルを隠します。

これ、先日レンタカーで借りた現行カムリも同じように塞がっていてなんだかな~と思ったんですが、安全も人間中心を謳っているだけに残念なところ。

さて、マツダ3の一番の新技術といえば、長時間乗っていても疲れにくいというシートとサスペンション。

なんか地味なようですが、地味だからこそ一番大切。

人間の一番基礎となる移動手段は「歩行」ですが、マツダ3では、人間が普段何気なくしている歩行の身体の動きを研究して、歩行時に無意識に頭を安定させる人間の動きが車に乗っている時でも再現されるよう、路面からタイヤ、シャーシ、ボディー、シートまでを時間軸で有機的につないで運転者や同乗者の骨盤や脊柱の柔軟性を活かして頭を安定させ、乗り心地を良くするという今までにない発想で開発されました。

そこで、一番重要となるのがシート。

人間は、歩行中はどんな時でも骨盤が立っていて脊柱のS字カーブを維持させていますが、一番の肝が第三腰椎なんだとか。

人間は背中からの筋肉と骨盤から筋肉がすべて第三腰椎につながっており、ここがピボットとなって姿勢を安定させ、座った時に勝手に第三腰椎が固定されるシート形状とすることで骨盤を立てて脊柱のS字カーブを維持し、足の代わりを車が担うようにしているんだとか。

実際に座ってみると、あまりに自然すぎてコメントしようがない。

私は元々少しシートバックを立て気味で座るので、特に違和感もない。

シートとともに重要なサスペンションですが、目玉となるのがリアのトーションビーム。

トーションビームなんて退化してんじゃん!

と侮るなかれ、車が人間の足に代わって姿勢を維持させるために最適化されています。

マツダの方いわく、車の動きにはロール、ピッチ、ヨーの3軸・6方向ありますが、この6方向の動きの位相がそろっていれば安定し、バラバラだと人間はバランスが取れないらしい。

そこで、路面の振動が時間軸でつながってドライバーへ伝わるようにセッティングしているので、単にサスが硬いとか柔らかいという指標では表せないということを強調されていた。

なので、歩行のメカニズムをわからないままリバースエンジニアリングをかけられても真似できないとか。

「リバースをかけるためにどんどん車を買ってください」とも。

新しいマツダ3には、『人間中心の発想を突き詰め、個々のユニットの進化に加え、人間の能力を活かすことで、人間が本来持つ能力を活かして車との一体感をさらに高め、人が自分の足で走っている感覚になるという究極の人馬一体を目指した』というスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーという考え方が反映されています。

ある講演で、スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーをうまく表現しているという記事(たぶんこれ)を読み上げて紹介されていましたが、わかりやすくまとめられているので引用させていただくと・・・

マツダは今、車の質的向上に全エネルギーを投入している。
バブル以降の日本車は高出力を競ったり、昨今なら電子デバイスによってものすごい挙動を実現したり、何らかのピークで一番の性能をたたきだすような車づくりで競い合ってきた。
このピーク時の話は一等賞の話なのでとてもわかりやすい。
しかしクルマを本当に所有した時、それはいつも楽しめるものか、といえばそういうものではない。
普通の人は公道でドリフトなんかしない。
例えばそういう場面で輝く電子デバイスなどは、もしかしたら車を所有している間、一度も味わうことがないかもしれない。
頻度の低い条件でだけ光る高性能というのは、毎日カップラーメンを食べながら月に一度高級レストランで散財するようなもので、最初は楽しいが、熱が冷めるとむなしい。
毎日おいしいお米を食べるような丁寧な生活の方が本当は幸せではないか?

マツダの技術プレゼンは、まず人体骨格が歩行をするアニメーションから始まった。
なんとまたずいぶんと深いところまで戻ったものである。
しかし呆れたのもつかの間、筆者は首が疲れるほどうなずくことになる。
人間中心、それはどこの自動車メーカーも言うセリフだが、ホントはこういうことだよね、と思わされる。
マツダ曰く、人間の移動の原点は歩行である。
だから車が走るということは、歩行をどれだけエミュレート(模倣)できるか、ということになる。
虚をつかれた。
いや、正しいが、そんなことができるのか?
それにはまずシートである。
シートの出来が悪いとダメなのは、人体に備わった性能を殺してしまうからだ。
背骨と骨盤の性能がいかんなく発揮できる姿勢を崩さないことこそシートに求められる性能だと言われれば、それは反論のしようがない。
ではシャーシやタイヤはどうだ?
人間の足は最も地面に近いところで足の裏の皮下脂肪、次いで土踏まずのアーチで衝撃を和らげる。
それがあってこそ全身筋肉量の4割をも占める足の筋肉が路面に推進力を伝えることができる。
ダビンチ曰く、足は人間工学上最大の傑作であり、そしてまた最高の芸術作品である。
ところがこの傑作である足は、運転席に座るとペダル操作にしか用いられなくなる。
だから、とマツダは言う。
タイヤからシートまでの全ては、その最高傑作である足をエミュレーション(模倣)するのだと。

マツダは人馬一体を通り越して、骨盤から上の人体と、骨盤から下の車を融合させ、ケンタウロスを作ろうとしている。
目指すのは、俊敏性の高い車ではなく、人体のように何も意識させない自然な動きの車である。
いや、もう驚いた。
バカじゃないの?という最大の賛辞を贈りたい。
走り始めるとその瞬間から路面の捉え方が穏やかなことがわかった。
ステアリングを切るときわめて自然、演出もハッタリもなく、思った通りに車を操れる。
人は路側帯の白線の上をあたりまえに歩けるが、車はそういうものではなく、ライン一本の上にストレスなく軌跡を乗せられるかどうかは、よい車かそうでない車かの分岐点になるような課題だったのである。
思った通りに操れる能力が大幅に向上している。
それは穏やかなワインディングでもアウトバーンでも同じだ。
車の全体の印象は、緻密で硬質、とは反対、筋肉のように柔らかいのに力強い、鋭敏でないのに自然で正確、シートのみならず足回りの印象もむっちりと密度感のある上質なものに仕上がっている。
(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1709/11/news035.html)

さらに、フレームそのものにも接着剤を使って剛性アップが図られており、マツダ3のBピラーに使われている減衰接着剤は、フレームの歪エネルギーを熱エネルギーに変え、さらに節構造を取り入れることで振動とノイズを低減しています。

そんな新技術が満載なマツダ3ですが、従来以上に剛性は高く、思った通りにサクサク曲がり、フィールが良くなったブレーキできっちり止まれる。

ものすごくいい車なのですが、どこにも尖がった要素がなく、パッとすぐわかるキャッチーな良さがないのが販売する上での難点かもしれません。

試乗の時にセールスさんに「これ、長距離乗らないと良さがわからないですよね」と言ったら、「そうなんです」と苦笑いしてました。

 クルマ@レンタカー・カーシェア・代車

Posted by Hepporon