実はリサイクルは矛盾がいっぱい
ウチのPTAでは、アルミ缶回収のリサイクル活動をやっています。
家からアルミ缶を持ってきて、それを回収業者に売ります。
去年はアルミ缶を約900kg回収しました。
アルミ缶回収活動を通じ、リサイクルの意識を持たせることはいいことです。
日本のアルミ缶回収率は、かつて20%程だったのが、今では70%を超えようとしています。
回収率が上がったのだから、世の中で廃棄されるアルミ缶は減っていると思われがちですが、実はむしろ増えています。
アルミ缶自体の使用量が回収量よりも増えているから、廃棄される量が増えてしまっているんですね。
また、最近ではペットボトルのリサイクル活動もさかんに行なわれています。
スーパーの店頭には、ペットボトル回収ボックスが置いてあったり。
ペットボトルはポリエステルで出来ているので、元をただせば石油から作られています。
石油を精製して出来たテレフタル酸とエチレングリコールがポリエステルの原料です。
リサイクルする時には、回収したペットボトルを洗浄し、高温・高圧で分解してテレフタル酸とエチレングリコールを回収、それを再度ポリエステルの原料にします。
実はここで矛盾が生じていることを、どれだけの人がご存知でしょうか?
新品のペットボトルを石油から製造する時に必要な石油の量を1とすると、リサイクルしてもう一度使えるようにするには、新品の約4倍の石油が必要です。
つまり、本来資源を有効に使って環境を守ろうとしているリサイクルが、実はリサイクルをすればするほど余計に資源を使っています。
電化製品や自動車のメーカーも、環境保護のためと言ってリサイクルに熱心です。
しかし、メーカーのリサイクルの目的は原材料消費を抑制することで、決して使用量全体の量を下げることではありません。
つまり、リサイクルを標榜として生産量を上げたい、ということなのです。
現代のシステムでは、たとえ大自動車メーカーといえども「生産量を上げずに繁栄する」ことは出来ません。
なので、リサイクル率を高めても、廃棄物の量は減りません。
もうひとつ、近頃の電化製品は東南アジアで作られているものが多いのはご存知でしょう。
その理由は、原料費、人件費の安い海外で作れば、製造コストを下げることができるから。
それを日本に輸入して、安く販売し消費しています。
では、輸入した電化製品のリサイクルはどうしているのかというと、日本で行なわれています。
安く作ったものを、人件費の高い日本でリサイクルすると、当然、リサイクル材は新品より高くなります。
また、リサイクルで得たプラスチックは新品よりも劣化しているため、新品と同じ性能にすることが出来ず、「より低い性能でも使える用途」にしか使えません。
価格が高いうえに性能が悪いものの使い道なんて滅多にあるものではなく、リサイクル自体が「粗悪で使い道のないもの」をどんどん作っていることになっています。
使い道がないものはどうなるでしょう?
結局、「ゴミ」になる。
みんながこういうリサイクルの矛盾に気付くのは、いつになるんでしょう。